防水層は建物を雨から守る機能の他に、風に対して飛散しないという耐風圧性能も要求されます。建築物の屋根は、強風下において負圧(防水層を吸い上げようとする力)を生じます。防水層はその力に対抗しなければなりません。しかし近年の研究報告から、防水層の固定方法によって、固定部には負圧の軸力と別の力、水平力も生じているという結論が出されています。
この水平力は、負圧により吸い上げられた防水層の浮き上がり、負圧の差を発端として発生し、防水層の固定部に対して水平方向の力を加えます。防水層の耐風圧安全性を検証する際、これまで考慮されていなかった力です。
つまりは、防水層の耐風圧能力を充分に発揮し、より確実な安全性を確保するためには、垂直に引っ張り上げられる負圧だけでなく、横方向に押される水平力も考慮した防水層の固定が重要です。
- ① ①’負圧によりシートが吸い上げられる。
- ②負圧の差やシートを伝達媒体とした力(a)が生じる
- ③(a)を分解した軸力(Fz)と水平力(Fy)が、ディスクを固定するビスに加わる。
現在、耐火認定ルーフデッキ下地の防水工法には、ビスとディスクを併用した「機械固定工法」と、接着剤や粘着材付ルーフィングを使用した「接着工法」の2種類があります。 機械固定工法は、防水層、断熱材ともにルーフデッキへは、ビスのみで固定されています。そのため風による負圧と防水層の浮き上がりにより発生した水平力とがビスとデッキの接点に集中し、ビスを引き抜いたり、ビス穴を広げたりする力を加え続けます。
その結果、負荷によるビス穴の劣化などでビスが抜けてしまい飛散事故につながる危険性を有しています。
接着工法は、ルーフデッキ−断熱材−防水層の各層それぞれを接着剤や粘着材により、広い面積にて接着しています。これにより強風下において発生する強い負圧から各部材の負荷を分散するだけでなく、防水層の浮き上がりも生じず、問題の水平力は発生しません。
IRシステムのアスファルト防水工法は、各部材を強固に固定した優れた接着工法です。
各工法における固定・接着面積と風洞試験の比較
風洞試験により各工法における屋根面の浮き上がりをレーザー変位計により測定。
- 機械固定工法
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防水層との固定はディスク面の直径面積のみ。ルーフデッキとの接合面はビスの点固定でしかない。
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風洞試験機械固定工法では、防水層が浮き上がり、波打ち(フラッタリング現象)が発生しているのが、レーザーラインで確認できる。
- 接着工法(IRシステム)
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ルーフデッキ・断熱材・防水層の各部材は、上部・底部ともに、両面接着にて広くしっかり固定される。
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風洞試験レーザーラインは、ほぼ直線。接着工法においては、防水層の浮き上がりは、発生していない。
建築基準法に基づき、以下検証モデルにより負圧に対しての性能を検証しました。
◆風圧力の算定基準
建築基準法施行例(第82条の5)
告示(平12建告第1454号、1458号)
◆試験条件
建物高さ(H):30m
建物の短辺方向長さ(W):50m
勾配:1/50
基準風速:38m/秒
地表面粗度区分:Ⅲ
その他:都市計画区域内
水平力の発生しないIRシステムは、固定面にかかる力は負圧力のみとなります。
今までの耐風圧性評価(負圧力)を適用でき、より確実で信頼できる安全率を算出できます。
IRシステムは、十分な耐風圧安全率を確保しています。
建築基準法に基づいた耐風圧試験
| 部位 | 固定強度(N/m²) |
|---|---|
| ①防水層—ギルフォームW | 81,000 |
| ②ギルフォームW—アイルーフDIP750 | 36,413 |
| 風圧力〔a〕(N/㎡) | 固定強度〔b〕(N/㎡) | 耐風圧安全率〔b/a〕(%) | |
|---|---|---|---|
| 屋根中央部 | −2,123 |
固定強度×安全率0.6※
|
①2,289 |
| ②1,029 | |||
| 周辺部 | −2,718 | ①1,788 | |
| ②804 | |||
| コーナー部 | −3,652 | ①1,330 | |
| ②598 |


