この建物で重要なことは、公園のエッジに建っていることです。建築というものは周りの環境に対してどのように存在するかを考えなければならないと、私は思っているのですが、今回はエッジに建つため、公園に合わせて良いのか、それとも公園に面する日比谷の街に合わせて良いのか、非常に迷いました。公園の真ん中にあれば、公園だけに応答したような建築のデザインを考えれば良かったと思うのですが、エッジにあるということは、どちらにも合わせなければならないのです。この建物はビルのように四角くて、建築物として何かフォーマルな形式を使っている感じにしましたが、それはなぜかというと、周りが日比谷のかなりしっかりした建築物が多い場所であることに応答するためには、ビルという形式を守った方が良いと考えたからです。
とはいってもこれは公園の中の建築です。多くの人が公園に期待している開放感を建築が演出しなければなりません。そこで、先ほどの天井を忘れるということが役立つのです。たとえば木陰はとても気持ちが良いですね。木の下は当然外部なのですが、木で覆われていることによって感覚的に部屋の中にいるような気持ちにもなります。つまり、ある程度守られた半外部的・半内部的空間がつくられているわけです。そのような中間的空間のあり方が人を開放させるのだと思います。
天井は、インテリアにいる、という感覚を作ってしまう非常に大きな要素なので、それを意識の中から外してしまえば、インテリアにいてもエクステリアにいるような気持ちになり、木陰にいるのと同様な開放感が得られるのではないか、そうした開放感を演出することによって公園の建築としてのふさわしさをつくる事ができるのではないか、と考えたのです。つまり、木陰は外部なのだけど中にいるような気持ちになり、フラワーショップは内部なのだけど外にいるような気持ちになる。そんな風に方向性は違うけれど、内外の曖昧さ、そしてそこから派生する開放感という点で木々と建築が似ている状況をつくろうとしたわけです。
ビルそのものの形態にみえつつ、一歩その中に入ると公園の中の木陰に近い開放感が得られるという二面性をこの建築は持っている、そのことで、公園のエッジに建つことのコンテクストを定着しました。つまり公園の建築でもあり、都市の建築でもあるということの両方を持った形態です。
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