上海環球金融中心



Q1 最上層に設けられた「栓抜きのような穴」の持つ空間の意味は何ですか?
 

展望台売店の売り上げNO1が、ビル型栓抜きですので、ある意味適切な表現ですが、設計者KPFはSky Portal( 空の玄関)と名づけました。

ビル全体が、丸と四角で構成されており、天と地を意味しているといった哲学的な説明もあります。建築構造的には、風を受け止めないで流すといった効果もあります。理屈はともかく、デザイン的に穴を開けたかったのでしょう。

97階展望台から見上げ100階展望階から見下ろすと、ダイナミックな大空間で迫力があります。是非、皆さん体験して味わってください。感動するのに、講釈や言葉は要りません。

また100階展望台のガラス床から見下ろしたり、97階展望台から見ると、今回採用した96階屋上露出防水を見ることができます。




Q2 その部分の防水について検討されたことは何ですか?
 

原設計では、穴は円形で、全てガラスで構成され、その時点では防水はありませんでした。

諸般の事情により、設計変更で現在の形になりましたが、建設途中の設計変更のため、防水に対しては

 (1) 荷重条件が厳しいため、極力軽量化する
 (2) 外断熱
 (3) 耐久性
 (4) 床スラブが薄いためクラックにも強い

といった無理難題に近い要求がありました。それに対応するものとして提案されたのが次世代型アスファルト防水BANKS工法でした。




Q3 日本と中国の防水に対する考え方の違いなどをお聞かせください
 

中国では、溶融アスファルトが市街地では原則として認められていません。作業員の健康問題、周辺環境への配慮が理由と聞いています。そのため、トーチ工法が主流です。また業者に対して性悪説に立っているようで、多くの規制が存在します。建物の重要度に応じて要求グレードが設定され、それに対応した防水仕様が要求されます。

防水材料も粗悪品が多いためか、各種認定制度が存在します。監理公司という品質管理会社が現場に常駐し、防水に限らず全ての製品が規定適合品か、実際に現場搬入された製品が適合品か、施工が適切か全て検査する体制があります。日本人から見ると、施主の自己責任でいいじゃないかと思うことでも、全て規定で決められています。

性悪説以外に、共産国で土地私有制度がなかったため、建物も国有財産であり、国がオーナーという感覚でつくられた規定のように感じます。規定が多いため、BANKS工法のような、新技術開発商品は既存の規定に、なかなか当てはまらないため、採用は困難です。

今回は、田島ルーフィングの努力で認定を取得して採用できましたが、新製品の採用は困難です。規制に関しては社会の成熟度や業界の技術能力などが絡み合って作られるものであり、中国、日本いずれが優れているというものではありません。ただ、技術的には日本の方が、進んでいると思いますし、新製品の開発環境が整っています。中国では、技術評価より、規定にどう適合しているかが問題になるため、現場担当者は無難に既存製品から選択するようになります。




 ◆ プロフィール
伊東 昭博 / 森ビル
1976年4月 森ビル株式会社入社 設計部配属
担当: 漏水対処工事、既存ビル外壁改修工事、大規模改修工事
1990年以降 新築ビル、外壁工事技術担当を兼務
担当: 愛宕ヒルズ、六本木ヒルズ 他
2005年-2008年 上海環球金融中心有限公司出向
担当: 外装工事、ゴンドラ設備、屋上防水工事
2009年4月現在

森ビル株式会社
都市開発事業本部 第二設計部
設計監理・技術部 技術課長

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