1)アルミニウムの素材
三星アルミ製雨仕舞材は、その名の通りアルミニウムを素材とした金属加工製品です。
- 比重
鉄や銅の約1/3(2.71kg/cm²)であり軽量化に役立ち、施工時の取り扱いも容易です。 - 耐蝕性
大気中で表面に酸化皮膜を自然に形成するので、優れた耐蝕性を有しています。 - 表面処理
人工的に表面の酸化皮膜を形成させるアルマイト処理により耐蝕性を飛躍的に向上させ、美しい銀白色の金属光沢を持つ表面ができます。また電解着色、塗装により様々な色調の仕上げが可能です。 - 加工性
展伸性に富み、様々な形状を容易に加工できます。また曲げ加工や溶接・切断加工も容易なため極めて広い用途に使用されています。 - 電導性
銅の約60%の伝導率を有し、比重が約1/3と低く銅の半分程度の重さで同量の電気を通すことができます。
以上のようにアルミニウムは様々な優れた特性を持ち、特に軽量であること、耐蝕性に富み、加
工性に優れているということは、屋外に暴露し建物の端部に使用される雨仕舞材の素材として非
常に適しています。表1に各々の製品に使用されている材質とその規格を表示しました。
表1.製品別アルミニウムの材質とその規格
| 種類 | A6063S-T5 | AP1100P-H14 |
|---|---|---|
| 製品名 | ライナーコーピングS ライナーキープS フラッシュカバー フラッシュエッジ アルミドリッパー フラッシュトップ フラッシュガード フラッシュライン アルミアングルシリーズ VTシリーズ シングルドリッパー シングルエッジ |
ライナーコーピングS・Mタイプ |
| 成型方法 | 押出成形 | 折曲げ成形 |
| 科学成分 | JISH4100の6063種適合品 | JISH4000の1100種適合品 |
| 引張強さ {N(Kgf/m²)} |
156.9(16)以上 | 117.6~147.1(12~15) |
| 耐力 {N(Kgf/m²)} |
107.8(11)以上 | 93.1(9.5)以上 |
| 伸び(%) | 8以上 | 6以上(厚さ2mm以上のもの) |
| 備考 | 代表的な押出用合金。強度・加工性・耐蝕性 および表面処理に優れ、溶接性も良好 |
加工性に優れている為 (板材中では、曲げや 伸びに優れている) どんな形状にも加工できる。 |
※三星ステンレスアングルJIS G4307 SUS430適合品
2)アルミニウムの表面処理
アルミ製雨仕舞材は、建築物の表面に露出するため、雨仕舞機能を長期間にわたって維持するために高い耐蝕性をもつ必要があります。また意匠的にも重要なエッジラインとして使用されるため、美観の点でも耐蝕性が高くなければなりません。
アルミニウムは表面処理性が優れているため、アルマイト処理やアクリルクリアー塗装によって防蝕効果を高めることができる他、塗装などによって、さらに意匠的な効果を高めることもできます。
- アルマイト処理(陽極酸化皮膜)
アルマイトとは硫酸及び硫酸水溶液中で電解を行い、アルミニウムを酸化させ酸化アルミニウムの層を生成して得られるもので、最も代表的な表面処理皮膜です。アルミニウム自体の美しい銀白色の金属光沢を保持したまま耐蝕性・耐摩耗性を向上することができます。また塗装や電解着色の母体皮膜としても利用されます。
素材のアルミニウムが直接酸化して皮膜が形成されるので、メッキなどのように異種金属を被覆したものと異なり剥離することがありません。膜厚は厚いほど耐蝕性は良好ですが、15 μ以上になると電解時間に対して厚さが比例増加しなくなります。耐蝕性の面から考えて9 μ以上の膜厚を設けるのが一般的です。

- アルマイト処理+アクリルクリアー塗装(陽極酸化塗装複合皮膜)
アルマイト処理後にアクリル系の透明合成樹脂塗装したもので、アルマイト処理だけのものより耐蝕性に優れていいます。また塗膜光沢により美しい外観が得られます。
- 2次電解着色(電解着色皮膜)
アルマイト皮膜の無数の微細孔の中にニッケルやスズなどの金属イオンを沈積させ着色し、その後封孔処理を行います。自然発色に比べて幅広い色調が得られます。電解時間に比例しながら沈積する金属イオンの量が増えるので、
T-11(ステンカラー)
→ T-1 → T-2 → T-3(茶)→ T-4(黒)
T-11(ステンカラー)
→ T-1 → T-2 → T-3(茶)→ T-4(黒)
と次第に濃い色に仕上がります。したがって2次電解液の組成や温度の微妙の変化、品物の質量などにより色調が多少異なります。電解作業によって各々の電解液は徐々に組成が変化するので絶えず電解液の管理が必要とされます。
- アクリル樹脂系塗装(デュラクロン他)
熱硬化性のアクリル樹脂系塗装を施すもので通常2 コート1 ベイクされます。普通のアクリルと比較すると、溶解性に優れています。有色塗装の焼き付けのため豊富な色調が可能であり、意匠の要求に従って色を調合することもできます。また均一に施工できるので色ムラを起こさないメリットを持ちます。
表2.三星アルミ製雨仕舞材表面処理
| 製品名 | 表面処理 | 皮膜厚さ | 備考 ※2 |
|---|---|---|---|
| ライナーコーピングS ライナーキープS フラッシュカバー フラッシュエッジ アルミドリッパー フラッシュトップ フラッシュガード フラッシュライン アルミアングルシリーズ VTシリーズ シングルドリッパー シングルエッジ |
アルマイト(L2)+ アクリルクリアー |
9μ以上+7μ以上 | 表面処理B-1種に相当 |
| 全タイプ | 2次電界着色(L2) ※1 | 9μ以上+7μ以上 | 表面処理B-2種に相当 |
| 全タイプ | ディラクロン他 | - | - |
※1:JIS H8601による。
※2:国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「建築工事共通仕様」
(平成13年度)ー14章:金属工事アルミニウム及びアルミニウム合金の表面処理種別による。
3)アルミニウム腐蝕と防蝕について
建築用外装材は長期間屋外で風雨や日光にさらさせるなど厳しい条件下で使用され、こうした過酷な使用条件下でも、その機能性を損なわず、美しい表面状態を保つことを要求されます。アルミニウムは元来無処理のままでも優れた耐蝕性を持つものですが、表面処理を施すことによって、耐蝕性を飛躍的に高めることができます。
しかし、大気中には砂塵や煤煙、金属の微細な粉塵、無水亜硫酸、塩分などの腐蝕性因子が含まれ、また異種金属や木材、セメント混和物との接触や、薬品の付着などによりアルミニウムの腐蝕が起こることがあります。
表3.アルミニウムの電解腐蝕を促進する金属
| 促進 小 | 鉛、ステンレス、チタン、 鉄鋼(Cℓ-の少ない場合) |
|---|---|
| 促進 中 | ニッケル、スズ |
| 促進 大 | 銅、 鉄鋼(Cℓ-の少ない場合) |

- 大気中の腐蝕因子による腐蝕
アルミニウムの表面に腐蝕性因子(ほこり・亜硫酸ガス・海塩粒子など)が付着すると、大気中の湿気や雨水の影響を受けて腐蝕性水溶液の状態になります。これがアルマイトの微細孔に浸透しアルミニウム素地との電位差によって電流が流れ腐蝕を生じます。
この腐蝕は異常腐蝕(2年程度で貫通孔を生じる腐蝕)にはなりにくいが、斑点状腐蝕を生じるので美観を損ないます。したがって腐蝕因子が考えられる地域ではアルマイト処理後、アクリルクリアーを施したものを採用する方が耐蝕性に優れています。
また、この腐蝕を防ぎ、美観を長く保つためには、メンテナンス(清掃など)を定期的に行う必要があります。方法としては市販の中性洗剤の1〜2%水溶液によって汚れを除去し、水洗後乾いた布で拭き取ります。
- 酸・アルカリ性物質及び異種金属との接触による腐蝕
アルミ製雨仕舞材は、サッシ等と使用部位が異なるのでモルタルや木材との接触による腐蝕の危険は少なく、主に問題となるのは壁面を伝うモルタル汁による腐蝕と、ビス等の異種金属との接触による腐蝕です。アルミニウムはPH7(中性)の時は安定していますが、PH が酸性若しくはアルカリ性に移行するに従って腐蝕性を増します。
また多くの金属はアルミニウムよりも高い電位を示し、特に銅や鉄はそれが著しいので同じ電解質中におかれると電位の低いアルミニウムは激しい腐蝕(電解腐蝕)を生じます。
以上のことから、アルミニウムの腐蝕を避ける為には、立上がり部等モルタル汁のかかる部位にはアルマイト処理+アクリルクリアー塗装の表面処理を行い、同一電解質中での異種金属との接触を避けることが必要です。
表4.20年間の屋外暴露試験結果(軽金属協会調査より)
4)三星ライナーコーピングS の耐風圧性について
風圧力・風力係数と許容応力度
パラペット笠木にかかる風圧力は昭和46 年建設省告示第109 号により、次のようにして求められます。
風圧力(P)= c・q・k c =風力係数 q =速度圧 k =地域別係数 また、速度圧(q)は、
建物の高さ
(h)< 16m の場合、q = 60 √ h
(h)≧ 16m の場合、q = 1204√ h
となります。
- 風力係数(c)は、日本金属笠木工業界の運用基準により、
c1 = 0.9(直線部)
c2 = 1.3(コーナー部)
となります。
- 笠木に対する許容応力度(fd)は、日本金属笠木工業会の運用基準により、
fd = 1,100kgf /cm²(10,787N /cm²)
となります。
- ビスの引き抜き強度(R)は、
R = 380kgf /(4,569N /cm²)
となります(フィッシャー製)。この数値が、ビスにかかる強度の5 倍以上であれば、ビスは強
度上問題ないといえます。
耐風圧性
〈条件〉次のような条件設定を行い、これに基づいてライナーコーピングS の台風圧力を求めます。
ライナーコーピングS の幅 a = 250mm
(ライナーコーピングS250 の場合)
ライナーコーピングS の定尺 b1 = 4,000mm
ライナーコーピングS コーナー定尺 b2 = 990mm
力板の厚さ d = 0.5cm
力板の長さ e = 6cm
力板の個数(直線部) n1 = 4 個/定尺
力板の個数(コーナー部) n2 = 3 個/定尺
ビス固定端から力板先端の距離 ℓ= 7.3cm
建物の高さ h = 50m
〈計算式〉
笠木にかかる応力度 σ= M / Z
モーメント M = W・ℓ
力板の断面係数 Z = d2・e / 6
笠木にかかる風荷重
W = P(a / 1,000)・(b / 1,000)/ n / 2
ビスにかかる風荷重
W = P(a / 1,000)・(b / 1,000)/ n / 2

〈算出〉
- 力板の強度(直線部)
P1 = 0.7 × 124√ 50 = 223.3
Z =(0.5)2 × 6 ÷ 6 = 0.25
W1 = 223.3 ×(250 ÷ 1,000)×(4,000 ÷ 1,000)÷ 4 ÷ 2 = 27.9kgf
M1 = 27.9 × 7.3 = 203.7kgf・cm
σ1 = 203.7 ÷ 0.25 = 814.8kgf /cm²
(7,990N / cm²)
上記のことより、
σ1 = 815kgf /cm²< 1,100kgf /cm²
( 7,792N /cm²< 10,787N /cm²)
となり、力板は強度上問題ないといえます。
σ1 = 815kgf /cm²< 1,100kgf /cm²
( 7,792N /cm²< 10,787N /cm²)
となり、力板は強度上問題ないといえます。
- ビスの強度(直線部)
W1’ = 223.3 ×(250 ÷ 1,000)×(4,000 ÷ 1,000)÷ 4 ÷ 2 = 27.9kgf /本
上記のことにより
5 × W1’ = 139.5kgf < 380kgf /本
(1,368N /cm²< 3,727N /cm²)
となり、ビスは強度上問題ないといえます。
- 力板の強度(コーナー部)
P2 = 1.3 × 124√ 50 = 414.8
Z =(0.5)2 × 6 ÷ 6 = 0.25
W2 = 414.8 ×(250 ÷ 1,000)×(990 ÷ 1,000)÷ 3 ÷ 2 = 17.1kgf
M2 = 17.1 × 7.3 = 124.8kgf・cm
σ2 = 124.8 ÷ 0.25 = 499.2kgf /cm²
(4,895.5N /cm²)
上記のことより、
σ2 = 499.2kgf /cm²< 1,100kgf /cm²
( 4,895.5N /cm²< 10,787N /cm²)
となり、力板は強度上問題ないといえます。
- ビスの強度(コーナー部)
W2’ = 414.8 ×(250 ÷ 1,000)×(990 ÷ 1,000)÷ 3 ÷ 2 = 17.1kgf /本
上記のことにより
5 × W2’ = 85.5kgf < 380kgf /本
(838N /cm²< 3,727N /cm²)
となり、ビスは強度上問題ないといえます。
5)EPTゴムパッキング
三星フラッシュトップ60、三星フラッシュガード、及び三星フラッシュラインに使用されているEPT ゴムパッキングは各気泡がそれぞれ独立した発泡体を形成、非透水性に優れその切り口においても完全に水の浸透を防ぎます。従来のシール材による止水方法と比較して耐候性や施工能率の向上など多くのメリットを持っています。その物性及び科学的性質は以下の通りです。
〔科学的性質〕
- 耐熱性
70℃の恒温槽中で7日間過熱させた結果、粘着・亀裂その他異常なし。 - 耐酸性
PH4 の硫酸中70℃で8時間浸清した結果、体積が5%増大したが、他に異常なし。 - 耐アルカリ製
PH12の苛性加里液中に70℃で8時間浸清した結果は体積増大5%以下。
表5.EPTゴムパッキングの特性
| 見掛比重 | 硬さ (スポンジ 高度) |
引張強さ (kg/cm²) |
圧縮応力 (g/cm²) 25%def |
伸び (%) |
常温永久歪 22hrs× 50%def |
加熱永久歪 70℃×22hrs 50%def |
吸水率 635mmHg 3mins |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 0.35 | 20 | 7 | 330 | 540 | 13% | 70% | 5% |
![[建築防水:アルミ副資材] 技術資料 アルミニウムの特性](./images/alumi_h1-tech.gif)
